他の職種とくらべて転職しやすいとされている薬剤師。国家資格を取らないと薬剤師になれないので、その希少性も相まって転職することも容易となる傾向にあるのでしょう。
そのため中には多くの転職回数を経ている人も確かに存在します。しかしいくら薬剤師が転職しやすいと言っても、どこの職場でもその概念が通じるわけではなく、職場によっては薬剤師の転職回数が厳しくチェックされることもあります。
今回は薬剤師の主な転職先と、許容される転職回数について解説していきたいと思います。
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薬剤師でも職場によっては転職回数が採用に影響することがある
薬剤師の転職はそれほど難しくないとされているものの、それも転職先によって異なると言えます。
転職回数についてさして気にしないというところもあれば、意外に見ているところもあるのです。
よって応募先によっては薬剤師の転職回数が採用に影響するということも充分ありえます。
ここでは数回の転職が許される職場と、そうでない職場についてご紹介していきたいと思います。
許容される転職回数は職場によって異なる
薬剤師の転職がある程度許される職場はそれなりに存在します。他の職種に比べて転職が容易なのも、割合的に転職回数を気にしない職場が少なくないからでしょう。
薬剤師の転職先としては調剤薬剤師や病院などが挙げられますが、転職しやすい且つ転職経験があっても問題ない順に並べると以下のようになります。
転職回数が影響しにくい職場ランキング
- 1位→調剤薬局
- 2位→ドラッグストア
- 3位→病院
- 4位→製薬企業
薬剤師であっても油断は禁物!各職場で許される転職回数は?
薬剤師の転職回数が採用に影響しない職場であれば、過去に何度か職場を変えたことがあっても、問題なく採用される確率は高いと言えます。
とはいえ許容される回数にもさすがに限度がありますので、具体的に何回までであれば許されるのかという点も知っておくと良いでしょう。
ここでは職場別に許容される薬剤師の転職回数について、さらに詳しく解説していきたいと思います。
調剤薬局で許される転職回数は1回~3回まで
薬剤師は転職しやすいとされていますが、中でも調剤薬局は転職経験が多い薬剤師でも転職しやすい職場となっています。
元々薬局は慢性的に薬剤師が不足しているため、2回~3回職場を変えた経験があったとしても、応募者の人間性に問題が無ければほとんどの場合、問題なく採用してもらえるはずです。
転職回数が採用でほぼ影響しないと言っても限度はある
ただし勤める調剤薬局をあまりにも短いスパンで変えている場合だと、採用側も薬剤師を雇うことに不安を覚えるので、やはり限度はあるということも留意しておきましょう。
5回や6回も転職しているあるいは、調剤薬局から病院へ移り、また調剤薬局へ出戻りした場合、どうしてなのか理由を求められることもありますので、納得できる事情をきちんと説明できるようにしておくと良いでしょう。
ドラッグストアで許される転職回数は1回~3回まで
ドラッグストアの転職難易度は調剤薬局とそれほど変わらないと言えます。こちらも2回~3回ほどの転職経験があったとしても、面接でしっかりと対策を練っておけば、採用される確率は高いと言えるでしょう。
そのためドラッグストアは調剤薬局と同じく、転職回数の多い薬剤師にとっておすすめの転職先であると言えます。
転職回数が影響することはあまり無いが、マイナスな印象を与えないよう注意
ドラッグストアも数回程度の転職回数であれば、気にする必要は無いと言えます。
また結婚・出産・進学・子育て・介護など、転職理由がやむを得ない事情である場合は、きちんと説明すれば採用側も仕方ないと納得しますので、もし質問されたときのために納得のいく理由を説明できるようにしておきましょう。
が、やはり4回以上ともなると採用側の目も厳しくなります。人間関係などネガティブに捉えられがちな理由ではなく、なるべくポジティブな応募理由を述べるようにして印象をカバーしていきましょう。
病院で許される転職回数は1回~3回まで
調剤薬局やドラックストアとは異なり、病院への転職ともなると難易度は上がります。
とはいえ薬剤師さんが調剤薬局やドラッグストア勤務から、病院へ転職するケースも決して無くはありません。
転職サイトでも病院薬剤師を募集する求人は多数出ており、転職回数についても1回~2回、多くても3回までくらいなら採用される可能性があります。
大手の病院ほど転職成功のハードルはアップする
病院への転職では規模によって難易度が異なると言えます。100床~200床くらいの規模が小さい病院であれば、難易度はあまり高くありません。
対して規模の大きな病院であるほど中途採用の難易度は高くなります。たとえば国公立病院や民間の総合病院などが挙げられます。
そういった大手の病院は福利厚生や設備などが充実していることから、薬剤師さんに人気があるため基本的に採用枠が少ないことも相まって、大手の病院への転職難易度が高くなっているとも言えるでしょう。
病院の求人でしっかりとチェックしておくべき2つのポイント
薬剤師さんが病院への転職を希望する場合、さらに注意しておきたいことがいくつかあります。
- 求人を出しているのは急性期病院と慢性期病院のどちらであるのか
- 夜勤の回数はどれくらいか又は残業が多い病院なのか
求人を出しているのは急性期病院と慢性期病院のどちらであるのか
急性期病院か慢性期病院かで薬剤師の仕事内容もかなり異なります。急性期病院の場合は高度で専門的な医療技術を学び、知識を活かせるので薬剤師としてのスキルアップを目指したい方におすすめです。
一方で慢性期病院の場合は急性期病院よりも専門性が低くなります。やることが毎日ほぼ同じである代わりに、時間に追われることはないため、自分のペースで仕事をしたい方におすすめです。
夜勤の回数はどれくらいか又は残業が多い病院なのか
夜勤がどれくらいあるのかは勤務する病院によって異なります。夜勤手当を多くもらいたいと考えている薬剤師さんならば、夜勤の回数についてもチェックしてく必要があるでしょう。
また残業時間についても必ず確認しておくことをおすすめします。いくら仕事といっても残業が多すぎると、その分だけ大きなストレスがかかってしまいます。
できるだけ同じ場所で長く勤めるためにも、無理なく働ける病院を探しましょう。
製薬企業で許される転職回数は1回まで
薬剤師の転職先として最もハードルが高いと言えるのが企業への転職となります。
調剤薬局やドラックストアであれば、数回転職したからといって気にする必要はほとんどありませんが、製薬企業では転職回数も採用側にとって合否を判断する材料となります。
過去に転職したことがあっても、大抵許されるのは1回までとされています。
製薬企業の求人は非常に少ないレア求人
製薬企業への転職難易度が非常に高いとされる理由として、もう一つ挙げられるのが他の職場に比べて求人が極端に少ないという点です。
現在でも製薬企業は中途採用枠を採ることが少ないため、調剤薬局や病院と比べて求人が見つかりにくいという特徴があります。
また企業によっては異なる業種からの転職を受け付けていないことや、一定の経験年数を求められるケースも多々ありますが、外資系の製薬会社は転職回数にも比較的寛容となっているようです。
このように製薬企業への転職はかなり狭き門となっていることがほとんどです。
最も難関とされるのに薬剤師の転職先で人気となっている理由
それでもやはり製薬企業は以下のような理由により、薬剤師さんたちに人気の転職先となっています。
- 他の職場より比較的高い年収を得ることができる
- 調剤以外の業務ができスキルアップできる機会に恵まれる
- 福利厚生が充実しており子育て中でも働きやすい
他の職場より比較的高い年収を得ることができる
製薬企業への転職では大幅な年収アップを期待することができます。企業薬剤師である場合、平均年収は最低でも600万円前後、それなりの勤務年数を重ねればそれ以上の年収を得ることも可能です。
さらにポジションや能力次第では1000万円程度となる場合もあるようです。
調剤以外の業務ができスキルアップできる機会に恵まれる
企業薬剤師は調剤だけでなく、新薬開発・管理薬剤師・MR・臨床開発モニター・治験コーディネーターなど、様々な種類の職種がありますので、調剤業務だけで終わりたくないという人にもおすすめです。
福利厚生が充実しており子育て中でも働きやすい
企業薬剤師として勤めるメリットとして、お盆やお正月などまとまった休みが取りやすいほか、子育て中であっても働きやすい環境であるということが挙げられます。
近年では企業のブラック体制を改善しようという傾向が強く、福利厚生を充実させるなど社員が働きやすい環境を整える企業が増えています。
そのため調剤以外の業務を経験できるだけでなく、家庭と仕事を両立させったい薬剤師さんも無理なく働くことができ、子育て中の女性薬剤師も時短で働けるというメリットもあります。
転職回数が多い薬剤師には経験が豊富という強みがある!
実際のところ薬剤師であっても転職回数が多いほど、転職には不利になる場合が多いと言えます。
とはいえ過去はやり直しが利きませんし、人にはそれぞれの事情があります。大切なのは転職をしてきたという過去を踏まえて、どのようにポジティブに捉え、未来のビジョンを描いているかを採用側に真摯な姿勢でアピールすることです。
それに転職回数が多いからといって、必ずしもマイナスになるというわけではありません。
複数の職場で勤めてきたのであれば、豊富な人生経験を得ているはず。
それは一つの職場で勤めてきた薬剤師では得られない強みです。職場によってはあなたの経験をポジティブに捉える所もあるでしょう。
これまでの経験をマイナスに捉えずプラスと考え、自分だけの強みを是非企業側にアピールするように努めてみてください。