薬剤師と妊娠…リケジョが避けられないM字型就労

薬剤師_妊娠

2017年の日本における30歳から34歳の女性の就労率は約68%で、20代の就業率と比較すると8%ほど落ち込んでいます。

35歳以上になると就業率は向上しますが、これは日本の女性が子育てによって職を一度離れているという事を意味します。

その中でも女性の方が多く働いている職の一つとして薬剤師があります。

日本の薬剤師は男性よりも女性の方が7万人多く、このことから日本は半分以上の薬剤師が妊娠、出産によって一度は職を離れているということがわかります。

薬剤師と出産の問題を考察するべく、口コミ等を参考に内部事情を加味しながら考察していきます。

薬剤師の女性の働き方

そもそも「薬剤師」と一言で言っても働く場所によって給与面でも働き方の面でも大いに異なります。

例えば、製薬会社に勤めた場合は、企業に務める為に給与は高く、福利厚生も充実しているものの、転勤や異動、出張などがあるという短所があります。

一方、薬局勤務の場合は休日の勤務などもありますがシフト調整が柔軟でありますし、パート労働であればその自由度はもっと高くなりますが、給与面では製薬会社よりはもらえないし、パートなら会社側の都合でクビになる可能性も高まります。

女性が薬剤師として働こうとした場合、福利厚生があって育休が取れたとしても妊娠した場合の働きやすさや、(小さいうちは)子供の事情で急に休まないといけないなど、時間の融通が重要視されるので、どうしても薬局勤務やパート薬剤師になる人が多くなります。

逆に妊娠などで休職、離職をしない男性は製薬会社で働き続け、キャリアアップも望むことが出来るので、給与が高いと言われている薬剤師においても男女における賃金格差は広がっているという現状の原因をここに見出すことが出来ます。

働き続けることへの障壁

薬剤師の女性が働き続けるにあたって、日本では社会規範的な障壁が多いです。

例えば、女性薬剤師が妊娠、出産後すぐに再び働き始めたいと思った場合、欧米やヨーロッパと違ってベビーシッターの文化が定着していないので、まず「小さい子供を母親がつきっきりで見るべき」という日本ならではの規範が復職の足かせとなります。

前述したような日本の女性の30代前半の就労率の低下は海外、特にヨーロッパと比較すると日本が68%前後の就労率なのに対し約75%という差が出ていることがわかります。

これは「女性が子供を育てるべき」という規範が男女の性差による適性によって生物的に決まっているのではなく、国や文化ごとの社会規範によって決定しているという事を意味しています(生物学的規定ならすべての国で同じ比率になるはず)。

つまり女性の薬剤師が妊娠によって離職や休職をするのは日本だけ、ということになります。

解決の動きは?

このような女性のキャリアアップが難しい現状を政府も見逃しているわけではなく、現在ではジョカツとして女性の妊娠、出産後の職場復帰を応援する動きはたくさん出てきています。

例えばWarisという会社は薬剤師のようなプロフェッショナルワークと子育ての両立を目指して、裁量制やテレワーク可能な求人を紹介しています。

また家事代行サービスも今までよりもカジュアルになってきていて、2時間5000円で家事を代行してくれる「casial(カジアル)」という企業もあります。

またベビーシッターの進化系として、一般的で効果なベビーシッターではなく、英語を教えられたり、元保育士などの個性を持ったベビーシッターを雇うことができるKIDS LINEというサービスも出来ました。

子育てをシェアするという考えから出来たサービスもあります。

「アズママ」というサービスでは近隣の知り合いのママや研修を積んだママサポーターに500円で子供をあずかってもらうことが出来るというサービスです。

顔見知の安心感もありながら、「毎回タダで預かってもらうのは申し訳ない」という後ろめたさを解決し、さらに 相手側には雇用関係が結ばれているというウィンウィンのサービスになっています。

このような薬剤師を始めとするプロフェッショナルワークの方でも職場復帰しやすい環境は探せば出てくるという良い傾向も見られます。

考察

出産は女性しか出来ません。

これは生物学的差ですが「子供を育てる」という行為に対しては生物学的に女性でなくてはならないという決まりはありません。

薬剤師などの女性の多い職では女性がキャリアアップ出来ないのは改善するべき大きな問題であり、現在はその改善の動きも見られることがわかりました。

女性がキャリアアップして、賃金が上がれば育児を外部に委託するコストも今より難なく賄うことが出来るようになりますし、養育費にも余裕が出来るので2人目、3人目の妊娠出産のハードルも低くなってきます。

薬剤師などのの女性が妊娠しても働きやすい環境づくりは少子化などの日本の大きな問題解決につながります。

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