薬剤師の数は年々増えてきており、厚生労働省が2019年12月19日に発表した「平成30年(2018年)医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」で、全国の薬剤師の総数は31万1289人でありました。
2020年現在では薬剤師の総数は更に増えていることはほぼ間違いないでしょう。
しかし、大半の薬剤師が薬局に務めるケースが多く、病院薬剤師の数は全体の2〜3割程度と言われています。それだけ、病院薬剤師として働くことは難しいのです。
それでは、病院に転職して働くにはどうすれば良いのでしょうか。
この記事では、病院薬剤師として働く時に最低限知っておきたい3つの項目と、最後に転職を成功させるのに一番大事なことを記していますので、ぜひご覧ください。
Contents
病院薬剤師と薬局薬剤師の主な業務の違い3つ
病院薬剤師と薬局薬剤師では、業務の内容が実はいくつか違うんです。
薬局で行う業務のほとんど全ては、病院で行う業務の一部にすぎません。しかし、病院で行ういくつかの業務は薬局では行われることがないです。
業務内容を更に細かくすることもできるのですが、ここでは病院と薬局で行われる主な3つの業務の違いを紹介していきます。
- 救命救急業務
- 治験業務
- 製材業務(院内製剤)
救命救急業務
救急救命センターを持つ大きな病院には、日中日夜問わずに、重症の患者様が多く搬送されてきます。その中の業務の1つとして、薬剤師が救急救命業務に関わることがあります。
薬剤師は医師の指示のもとで、搬送されてきた患者様に合わせて、適切な薬や量、投与方法を選択し、素早くこれらの業務を準備し、チェックします。
1つのミスが命取りとなるこの現場ですが、薬局にはこれに類似した業務は存在しないので、病院薬剤師だからこそ経験することができる貴重な経験です。
治験業務
治験に関わる薬剤師は、治験の契約から治験が進行している時の監視など、治験が終了するまでの一連の流れに関与します。
そして、治験業務とはまだ承認されていない薬の臨床試験を行うことです。治験室がある病院であれば、治験に関わることができるのですが、その中でも治験にか変われる薬剤師はさらに厳選されます。
なので、治験に関わって仕事をしていきたいということであれば、CRA職(臨床開発モニター)やCRC職(治験コーディーネーター)として治験に関わることは可能です。
CRAやCRCになるには薬剤師の資格を持っていなくても問題ないですが、活躍しているCRAやCRCの多くは薬剤師の資格を保持している人が多く、医療現場で得た知識を活用して働いています。
製剤業務(院内製剤)
製材業務は一般的に病院で行われることが多い業務で、薬物治療の中で、市販されている薬で効果が得られない場合や、市販されている薬をそのままでは患者様に提供できない場合、個々人に合わせて病院の中で薬を調製する業務になります。
薬局の中にも、薬局でこれらの業務を行う薬局製剤というもの一部の薬局では行われています。
しかし、扱うことのできる薬の種類も量も大きな違いがありますので、知識を存分に活用して働きたいという薬剤師は、病院で働くことを薦めます。
薬剤師が病院に転職する時に大切にしたいこと3つ
「今の職場に不満を抱えているから、別の病院に転職をしたい」、「将来のことを考えて、薬剤師としてのスキルアップを狙いたい」など様々な理由で病院に転職を目指す人は多いかと思います。
しかし、ただ闇雲に病院すれば良いわけではありません。転職することは良いことなのですが、その中でも病院に転職を目指す薬剤師が大切にしたい3つのことを紹介します。
- 病院の種類
- 職場環境
- 自分がなぜ病院に転職したいのかを考える
病院の種類
病院という大きな囲いの中に実はいくつか種類があることは知っていましたか。病院の種類によって業務の内容や働きか方は全く違います。なので、次の2つの病院の特徴を見比べて自分が目指す転職場所はどちらなのかをはっきりさせましょう。
急性期病院
急性期病院は急な病気や怪我、緊急の入院や手術などの高度で専門的な医療の提供を行う病院です。幅広い年齢層の患者さんがいるので、様々な症例を積むことが可能です。
グループの医療現場に関わる機会が増えるので、薬剤師としてのスキルアップを目指すにはもってこいの環境が整っています。
慢性期病院
慢性期病院は、急性期の治療を乗り越え症状が安定しているものの、自宅で生活することは困難なため、継続的な治療が必要な患者さんが入院する病院です。
なので、慢性期病院には高齢者の患者さんが非常に多いです。積める症例数は限られますが、患者さんとの関係を大事にして働いていきたいという薬剤師にはおすすめです。
職場環境
病院に転職するということは、スタッフとも患者さんとの関係も深くなっていくことを意味します。なので、病院転職を目指す前に、職場の環境を確かめることは非常に大切なことになります。
どの職種でもそうですが、ストレスを抱えながら働くほど辛いことはありません。事前に職場環境を確かめにいく時には必ず、スタッフの人数や職場の雰囲気、どの層の患者さんが多いのかなどの情報を集めることを心がけましょう。
情報収集が足りないがために、転職を繰り返す薬剤師は非常に多いので、情報収集は入念に行いましょう。
自分がなぜ病院に転職したいのかを考える
薬局やドラッグストアから病院に転職するにしろ、別の病院に転職にしろ、病院に転職するには何らかの理由が存在するはずです。ご自身の中でもう1度、転職する理由を考えてみて下さい。職場の情報収集をすることと同じくらい、転職理由を考えることは大事です。
現在働いている病院の職場の人間関係に悩んでいて転職を目指すなら、雰囲気が良い病院を探し、薬剤師としてのスキルアップを目指すなら、様々な症例を積める病院に転職を行うことが理想です。
なので、ご自身の中でなぜ転職したいのかを深く考えてみて下さい。
病院薬剤師として働いて得られる3つのこと
病院には急性と慢性、薬局と病院では業務内容が異なるということを紹介してきましたが、具体的に病院薬剤師として働いて得られることは何でしょうか。
ここでは、病院薬剤師として働いた時に得られる3つのことを紹介していきます。
- 臨床医療を積むことができる
- 最新の医療現場に囲まれて働くことが可能
- チーム医療に関わることができる
臨床医療を積むことができる
入院治療が必要な患者さんに関わることで、様々な臨床医療に関わることができます。患者さんに合わせたお薬の投与方法や使用法を、医者とともに考えることできます。
転職する病院によって変わりますが、若者から高齢者まで幅広い年齢層の患者さんがいるので、密なコミュニケーションを取ることが求められます。
学ぶべきことが多いですが、確実にスキルアップをすることは可能です。
最新の医療現場に囲まれて働くことが可能
患者さんに合わせて、新薬の情報を収集して医師に情報提供を行います。
新薬を投与して得られたデータなども集める必要があり、それらを医師や看護師に伝えるというのが主な役割です。
薬の副作用や効果を比べて、患者様に対する効果的な使用方法や投与方法を提案する能力も求められます。難しくて頭を悩ませることが増えるかもしれませんが、最新の医療現場で働くことができるというのは、病院で働く最大のメリットの一つと言えます。
チーム医療に関わることができる
チーム医療は薬剤師だけでなく、医師、看護師、管理栄養士などの医療スタッフと協力して、治療にと取り組みます。
様々な現場での専門性を最大限に活かすことが求められますので、より高度な医療現場に携わることが可能になります。
その中で薬剤師は、薬剤のスペシャリストとしての活躍を期待されますので、存分に知識をはっきすることができます。様々な医療現場のスペシャリストがいるので、新たな視点で患者様に大してアプローチが行えるようになります。
転職サイトを上手く活用していこう
最後になりますが、転職サイトを活用することで、理想の病院に転職できる可能性が高まります。
ご自身で集められる情報にも限りがありますので、転職サイトの転職アドバイザーと協力することで、より詳細な情報を集めることができます。
転職した後のアフターサポートまで行ってくれるので、病院に転職しようか迷っている薬剤師は必ず転職サイトを利用して転職活動に取り組むようにしましょう。
みなさんの転職が成功することを心から願っています。