安定してい仕事として人気の薬剤師の仕事がなくなるということはあるのだろうか?
今回は、人工知能の発達によって、また規制の変更によって予想される薬剤師の将来について見ていく。
薬剤師の仕事はなくなる?
人工知能(AI)の影響
AIの発達によって、自分の仕事がなくなるのかという不安をお持ちの方も多くいらっしゃると思います。
薬剤師の仕事はなくなるのか?という問いについて答える前に、まずは人工知能(AI)とは何かについて見ていきましょう。
AIは、現在、「機械学習」という技術がベースとなっています。
機械学習というのは、コンピューターがビックデータを解析することで、一定の法則性、類似性を導く技術なのです。
では、なぜこのAIが人間の仕事を奪ってしまうのかというと、これまで人間しかできなかった「人の顔を見分けること」や「人の言葉を聞き分けること」をこのAIができるようになったからです。
この技術を使えば、人よりも安く、正確にできることが多くなるのです。すでに、将棋の世界において、AIは人間に勝っていますし、2045年には、シンギュラリティ(技術的特異点)を迎えるとされています。
ここまで、AIについてのざっくりとした説明になりましたが、ここで本題に戻って、このAIによって薬剤師の仕事は奪われてしまうのかについて説明します。
AIによって奪われる仕事
過去にAIによって奪われる職種について執筆された論文で世界的に話題になったものがある。
これによると、10-20年後に薬剤師が仕事を奪われる可能性は1.2%だとされている。
薬剤師にとってAIは思っていたよりも深刻な話ではないように思われるが、安心はできない。
そこで、薬剤師の仕事の中でも特に奪われる可能性がある仕事について見ていく。
奪われる可能性が高い仕事は、ズバリ、「生産性」が関わっている仕事である。「生産性」と言っても、漠然としているため、ここでは「調剤」や「監査」の仕事を例に考えてみよう。
まず、「調剤」は、調剤棚から薬を出すという仕事だが、この時に大事になるのは、いかに正確にできるかということだ。しかし、この場合、人間とAI、どちらが正確にできるだろうか。
考えるまでもなく、後者であるということが分かろう。
Amazonの倉庫で、人間がロボットに置き換えられているという話は有名だろう。
また、「監査」という仕事は、調剤に誤りがないかということを探す仕事であるが、この「監査」に必要になる能力、要素は、「知識量」と「集中力」であろう。
ここでも勝者は、ズバリ、ロボット、すなわちAIである。
このように、AIによって奪われやすい薬剤師の仕事は、「生産性」に関わる仕事である。
AIによって奪われない仕事
では、一方で、奪われない仕事とはどのようなものか。
それは、「コミュニケーションが必要な仕事」である。人間は数学的な部分、論理的な部分に関しては、AIに勝つことができない。
だからこそ、先ほど述べたように、「生産性」が必要となる多くの場所で、人間が機械に置き換えられている。
しかし、世の中、すべてが論理で通るほど、単純なものではないことは、みなさんお分かりだろうか。
例えば、ビジネスとは、何かものを売るということであるが、消費者側である人間は、機械ほど、論理的ではない。人間が何か物事を選択するときには、それだけでは説明しきれない要素が介入されている。
だからこそ、本題に戻るが、「コミュニケーションが必要な仕事」というものは、人間がAIに勝るものだということができる。で
は、薬剤師の仕事において、「コミュニケーションが必要な仕事」でAIに奪われない仕事とはどのようなものか。
それは、「在宅医療」の分野である。
なぜかというと、患者さん一人一人が持っている問題は様々で、それぞれに適した対応をしなければならないのである。
規制による影響
薬剤師の仕事がなくなるかどうかについては、AIだけではなく、「規制」が関わってくるということができる。
規制によって左右された職業の例として弁護士がある。
弁護士は高い社会的地位を得られる仕事であり、国家資格が必要とされている。
しかし、以前、国家試験の合格率を上げるルール変更によって、弁護士への就職倍率が非常に高まってしまったということがある。
一方で、薬剤師の場合も規制がある。この規制は薬剤師の仕事を守っているが、この仕事がなくなればそれはまた別の話になる。
どのような規制があるのかについて見ていこう。
第一類医薬品の販売規制
第一類医薬品の販売規制とは。従来、処方箋が必要であった医薬品に関して、処方箋なしでも、薬局やドラックストアで購入可能にしたものだ。
条件として、販売の際、薬剤師が対面で薬について説明しなければならないというものがある。
この規制によって、薬剤師の雇用が生まれたのは事実である。
しかし、現状として、販売の際に、説明をしないということも多くあるそうだ。
そのため、今後、この規制の中での条件、「薬剤師の説明責任」というものはなくなる可能性だって少なくはない。