現在、薬剤師の求人倍率は、10.05倍です。
全職種の求人倍率は1.37倍なので、この数字はとても高く、薬剤師の求人が絶えることはなかなかないでしょう。
つまり、薬剤師は現在人手が足りたておらず、需要のある職業であると言えるでしょう。
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薬剤師余りの時代がくる?
現在は需要のある職業ですが、今後、薬剤師が余ってしまうような時代はくるのでしょうか?
薬学部の新設ラッシュ
2006年に大学の学部・学科の設立は許可制から届出制に変わりました。これを機に薬学部新設ラッシュが起き、薬学生の数が急増しました。
このことから、薬剤師の数が増えすぎるのではないかと予想されるようになりました。
薬剤師国家試験のレベルは変わらない
薬剤師の人数の増加を懸念されましたが、薬剤師の国家試験の難易度は変わらなかったため試験に合格する人数が急増する事はありませんでした。
また、試験に合格し、資格を手に入れたひと全員が薬剤師として働くわけではありません。
つまり、薬剤師が余ってしまう時代が来るとは考えにくく、まだまだ薬剤師の人手不足は続くといえるでしょう。
都市より地方の薬局で働く方が高収入?
薬剤師の勤務先は、交通の便がよく、娯楽の多い都市に人気が集中します。ですから、現在地方の薬局では薬剤師の人手不足に悩まされている状況です。
このような地方の薬局は、人材確保の為に都市の薬局よりも高収入である傾向にあります。
年収に100万円もの差がでる?
では、収入にはどのくらいの差があるのか具体的な数字で見ていきましょう。
2017年の薬剤師の年収平均が最も高かった県は、山形県で652万円、次に高かったのは岐阜県で628万円でした。
東京都は522万円、大阪府は511万円となっています。
このように、都市と地方で100万円程の差が出ています。
しかし、沖縄県や北海道といった人気の観光地は地方であっても、人材確保に苦労しないため高収入は望めないので注意しましょう。
地方の薬局で働くことのデメリット
都市よりも交通の便が悪いことや、研修制度が充実していないことが多いためスキルアップが見込めないことが挙げられます。
薬局の店舗数が増加?
日本の高齢化や医療の分業が推し進められたことにより、調剤の需要が増え、近年薬局の店舗数が増加しています。
具体的には、2010年から2016年の6年間だけでも、薬局の登録件数は約1万件増加しました。
新しい薬局の在り方
薬局は多様化も進めています。例えば、ファミリーマートと宮本ドラッグなどコンビニと一体化した薬局などが登場しました。
このように薬剤師を必要とする職場が増えたことも、薬剤師の人手不足につながっていると言えます。
AIの導入
AIの導入によって、薬剤師の人手不足は解消されないのでしょうか。簡単な調剤などの単純業務はAIによって代行されるようになるでしょう。
しかし、医療現場におけるAIの役割は補助的なものに過ぎません。
AIには出来ない業務
現在の日本は、高齢化が進んでいます。高齢となれば、通院が困難になり自宅での治療を望む人も増えます。
ですから、これから医療の現場は、病院から自宅へと移っていくと考えられています。必然と薬剤師も在宅医療業務が主になっていくと言えるでしょう。
在宅医療では、薬剤師が患者様とコミュニケーションをとった上での業務が必要になってきます。
ですから、薬剤師の仕事が完全にAIに奪われることはなく「人」である薬剤師が求められるようになっていくでしょう。
潜在薬剤師とは?
潜在薬剤師とは、薬剤師の資格を持っていながらも薬剤師として働いていない人のことを言います。潜在薬剤師の多くは結婚や出産を機に退職してしまう女性であるされています。
現在、潜在薬剤師は約9万人いると言われていて、この潜在薬剤師の職場復帰が薬剤師の人手不足解消に繋がると考えられています。
潜在薬剤師の職場復帰にむけて
政府は、2015年4月に「子供・子育て新支援制度」を新たに導入しました。これは、待機児童などの子育てをする女性の職場復帰を妨げている問題解決を期待しての政策です。
しかし、この政策によって母親の職場復帰率の上昇に影響を与えることはありませんでした。
人手不足を改善するには?
1人あたりの業務が多い
薬局の薬剤師の方が不満に思うことの1つとしては、1人あたりの業務が多いということが挙げられるそうです。これは薬剤師が人手不足であるため、免れない事かもしれません。
しかし、このような不満を抱いている薬剤師が多くいるまま経営を続けていては退職者が出て、さらなる人手不足を招きかねません。
これを改善するためには、オーナーが行なう業務を増やしたり、カルテの電子化など少しでも人の手で行なう業務を減らせると良いでしょう。
潜在薬剤師の職場復帰
家事や子育てと仕事の両立ができるのならば、職場復帰したいと思っている女性は多くいるそうです。ですから託児所を設けたり、雇用形態を柔軟に変更できるシステムを作るなどして潜在薬剤師の復帰が望める環境づくりが重要になってくるでしょう。
まとめ
薬剤師は現在、まだまだ人手不足の状況が続いているため活躍できる職場がたくさんあるといえます。とりわけ地方の人手不足が著しいため、少しでも給料アップを望んでいる方は地方の求人を探してみるといいですね。