「薬剤師が売り手市場になる」や「医療業界の慢性的な人手不足」という声がある一方で、2006年の薬学部6年制による新規薬学系学部・学科の増設に伴い、「薬剤師過剰時代になる」という声も聞こえています。
現状として、社会では「薬剤師不足が解消されていない」という声が頻繁に聞こえています。
そういった中で、ここでは薬剤師の人手不足の現状とその原因、対応策などについてお話していきたいと思います。
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薬剤師の人手不足は本当?
現状として、薬剤師の人手不足が本当かどうかという質問については、「あるところでは足りているが、あるところででは足りていない」という答えになります。
薬学系の学部・学科の増設を行い、薬剤師の数はたしかに増えてきています。
しかし、薬学部6年制実施以降、新卒薬剤師が大手病院や有名製薬会社などの企業に就職してしまい、他の調剤薬局やドラッグストアといった薬剤師を必要としている店舗に人が回らなくなってしまっているという状況になっています。
以上のような理由から薬剤師の人手不足の問題は、大手病院や有名企業においては問題ないところも多いが、一部の店舗では顕著に起きているという現状です。
しかしまた、年々と、薬剤師の数は増加傾向にあり、「近い将来、薬剤師は13万人程度の余剰が生まれる」とも予想されています。
そこで次に薬剤師の人手不足の原因について、より掘り下げていきたいと思います。
薬剤師の人で不足の原因って?
ここでは薬剤師の増加傾向に対し、このように人手不足となっている原因について詳しくお話していきたいと思います。
- 働かない休業薬剤師や潜在薬剤師が多い
- 薬剤師免許がいらずに就業できる
- 薬局やドラッグストアの急増
働かない休業薬剤師や潜在薬剤師が多い
薬剤師の割合のほとんどが女性であり、全体の6割を占めているといわれています。
そのなかの多くの薬剤師が出産や育児休暇により休業中の薬剤師がいるのです。
潜在薬剤師がおよそ9万いると言われていて、そのなかでも20~40代の働き盛りの薬剤師が3割程度含まれると考えられると言われています。
これも薬剤師不足の主たる原因なのではないでしょうか。
薬剤師免許がいらずに就業できる職場
薬剤師免許が必要なくとも就業でいる職場で働く薬剤師がいるというのも原因のひとつではないでしょうか。
以下が新卒の薬剤師の進路先です。
- 薬局 約36%
- ドラッグストア 約5%
- 病院 約27%
- 製薬会社などの企業 約10%
- その他 約20%
上記の数字を見ていただくと分かる通り、新卒では薬剤師免許のいらない職場に就職している薬剤師が多くいらっしゃいます。
これも薬剤師不足の原因のひとつであり、薬剤師が育たない原因のひとつだと思います。
薬局やドラッグストアの急増
医薬分業の制度や高齢化社会の波及が薬学部界隈にも影響を及ぼしています。
薬局やドラッグストアの店舗数が増加しているのです。
具体的な数字でいうと、約4万9000件(2002年度のデータ)から約5万6000件(2012年度のデータ)となっています。
このようにドラッグストアや薬局の増加による需要過多もまた、薬剤師不足と言われる原因です。
薬剤師の人手不足の原因は以上の通りです。
次にこのような薬剤師の今後の対応策についてお話していきたいと思います。
今後、薬剤師の取るべき行動は?
ここでは今後、薬剤師が「人手不足」や「薬剤師の過剰」に備えて、どのようにすればよいのかについてお話していきたいと思います。
- 薬剤師の総合力を鍛える!
- 薬剤師として自分にしかないものを持つ!
- 高齢化に対応できるように!
薬剤師の総合力を鍛える
これから最も求められるであろうことは、薬剤師としての総合力です。慣れた調剤や対応、幅広い専門的な知識、患者さんとの円滑なコミュニケーションなど、総合力が求められるようになります。
総合力の高い薬剤師はどのような現場でも、どのような時代でも需要は高いでしょう。
薬剤師として自分にしかないものを持つ!
これは総合力とはうって変わって、その中でもとりわけ誰にも負けないというようなスキルを持つことです。
例えば、外国語が堪能であるなどです。
薬剤師が増える中で、他の薬剤師と差別化がはかれるようなスキルを一つ身につけましょう。
高齢化に対応できるように!
段階の世代が75歳を迎えるという「2025年問題」に備える必要があります。
薬剤師として、高齢者の患者さんと触れ合う機会が顕著に増えていくと予想されます。
そういった中で、高齢者と円滑にコミュニケーションをはかれるように備えておきましょう。
以上が今後の薬剤師が求められる対応策だと思います。
まとめ
以上のように、薬剤師の人手不足や人手過剰の影響は個人では避けられません。
薬剤師の求められることとして、今後そのような状況に対応できるように備えておくようにしましょう。
薬剤師の展望についてまとめているので、是非参考にしてみてください!
そして、常にアンテナを張るようにし、多くの情報を収集していくことを心がけましょう。