一般的な職業だと転職回数が多いことを気にする方もいらっしゃると思いますが、薬剤師の場合は一般的な職種と比べて、転職回数が平均よりも多い傾向にあると言えます。
むしろ薬剤師の業界では過去に何回か転職している事自体珍しくありません。
とはいえ確かに転職経験者が多いのですが、過去の転職回数が全く影響しないというわけでもないので、その点には注意が必要と言えるでしょう。
今回は薬剤師の転職回数は平均どれくらいなのか、そして職場別に転職回数はどの程度影響するのかについて解説していきたいと思います。
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薬剤師は平均的に転職回数が一般の業種よりも多い傾向にある
薬剤師の場合は約半数以上が2回以上の転職経験をしています。よって業界全体の平均転職回数は2回~3回程度ということになります。
また中には4回以上も転職している薬剤師もおり、むしろ転職していない薬剤師の方が珍しいと言えるでしょう。
お硬いイメージとは裏腹に大体は1回~2回の転職を経験している
このように薬剤師は比較的転職する人が多い職業であると言えます。インテリな印象が強い職業だけに、これだけでも意外と思われるかもしれませんね。
実際に薬剤師は平均的に3年に1度は転職していると言われています。よって1回~2回程度転職することなんて当たり前となるわけです。
薬剤師は一般的な職業と比べて転職しやすい!その理由とは?
一般的な職業と比べて薬剤師の転職回数が平均的に多くなる理由としては、以下の理由が挙げられます。
- 一般的な職業よりも転職しやすいから
- 薬剤師の転職自体が売り手市場だから
まず挙げられるのが薬剤師の転職ハードルは一般職よりも低いという点でしょう。
これは薬剤師業界特有のもので、一般よりもはるかに転職しやすいことから、定年まで同じところで働くという意識は全体的に高くないと言えます。
またもう一つは転職する薬剤師が多いために、それ自体がニーズとなって大きな売り手市場になっているという点も挙げられるでしょう。
薬剤師の転職は売り手市場!需要と相まって転職が加速する傾向に
薬剤師は資格が無ければ就くことができない職業です。薬剤師の資格を持っている人でなければ、処方箋薬の取り扱いもできません。ドラッグストアでも一類医薬品を扱うことができるのは薬剤師だけであり、人材が限られた職業となっています。
人材が限られるということは採用枠もそれなりに空きがあるということです。一昔前までは薬剤師の資格さえあれば、即採用という企業がほとんどというくらいでした。
ほぼ入れ食い状態だったこともあり、薬剤師の転職が売り手市場となって、平均的に転職回数が多くなる傾向に拍車がかかったと思われます。
女性薬剤師はライフイベントによって転職を余儀なくされる
また薬剤師の業界は女性が多いのですが、こちらも転職回数が多くなる理由の一つであると考えられています。
女性の場合は結婚・妊娠・出産・育児など、人生の転機ともなるライフイベントが複数控えています。
家庭を持ちながら仕事をする薬剤師、子育てが落ち着くまで待ってから復職する薬剤師など、ケースは人によって様々ですが家庭のある女性であれば、家庭と両立できる職場を探すことが必須となります。
結婚や出産による育児で大きく働き方が変わってしまう
特に育児をしている間はお子様が急な体調不良になることもあるほか、定期検診を受けなければならないこともあります。
それらのような事情にも、時短での勤務や早退などで対応してくれる職場でなければ、仕事との両立をすることはできなくなります。
このように女性薬剤師は結婚や出産により、それまでとは異なる働き方を余儀なくされるので、家庭と両立できる職場でなければ当然転職する必要に迫られるでしょう。
全体の半数以上の薬剤師が転職を経験している
業界における女性薬剤師の転職の割合は全体から見て、60%~70%ほどであるとされています。ほとんど半分は確実に転職をしているのですから、割合から見てもかなりの数値ですよね。
薬剤師が元々転職しやすい業種ですので、より働きやすい環境を求めるがゆえに転職する女性も多いのでしょう。
また薬剤師は資格がありきの職業となっていることもあり、比較的復職しやすい職業とされています。
職場によっては復職支援が充実しているところもあります。その点も多くの女性薬剤師が復職のために転職サイトを利用する理由となっているのでしょう。
薬剤師の転職回数が影響する場合も!許容される転職回数は何回まで?
このように薬剤師界隈は転職経験者で溢れていると言うことができます。しかしそれでも転職を重ねること、でマイナスになるのではないかと心配になる場合もあるでしょう。
実際の薬剤師の転職は平均何回目まで許されるのでしょうか?
過去の転職回数が最も影響するのは製薬企業
薬剤師は転職自体が珍しくないので、転職活動でも転職回数を深刻なまでに気にする必要は無いと言えます。
しかし職場によっては過去の転職回数が、採用の合否に影響する場合もあります。
薬剤師の転職先にも色々ありますが、転職回数を最も厳しくチェックされる職場は製薬企業です。
企業薬剤師が携わる主な仕事の内容
薬剤師の転職では多くの場合、調剤薬局・ドラッグストア・病院が主な転職先となりますが、製薬企業への転職というパターンも存在します。
企業への転職となる場合、薬剤師としての仕事では以下のようなものが挙げられます。
- 企業専属の研究職
- 企業専属のMR
- 管理薬剤師
- 臨床開発モニター
- 治験コーディネーター
製薬企業への転職は難しいとされる3つの理由
製薬企業への転職は以下の理由により、他の職場と比べて難易度が高いとされています。
- 調剤薬局などの職場と比べて求人数が圧倒的に少ない
- ほとんどの企業では未経験の中途採用枠を採ること自体が稀となっている
- 過去の転職回数も合否の審査対象となっている
製薬企業は過去の転職経験にも目を光らせている!
製薬企業への転職ではこれだけの条件が付きますので、転職は非常にハードルが高いものとなっています。
ある程度年齢が行っている薬剤師によって、最もネックとなるのが転職回数でしょう。
上記でも述べてきたように薬剤師は転職回数が多い職種となっており、平均的に2回~3回の転職は当たり前となっています。
しかし製薬企業では過去の転職回数も審査対象となっており、薬剤師の求人であっても転職そのものがあまり受け入れられない傾向にあります。
転職経験があってもほとんどの場合許されるのは1回までです。平均的に転職が多い業種である薬剤師にとっては、かなり難しいハードルになっていると言えるでしょう。
外資系の製薬企業では中途採用の求人も出ていますが、英語力が必要になることもありますので、やはりハードルは比較的高いと考えられます。
調剤薬局・ドラッグストア・病院で許される転職回数は?
薬剤師の転職先としては他に調剤薬局・ドラッグストア・病院があります。これらの職場では製薬企業ほど薬剤師の転職回数は問われません。よって転職経験者が多い薬剤師にとっては主な転職先候補となります。
それぞれの職場で許容される転職回数は以下のようになります。
- 調剤薬局
→許容される回数:2回~3回 - ドラッグストア
→許容される回数:2回~4回(30代なら4回まで) - 病院
→許容される回数:2回~3回
※ただし規模の大きな病院では転職が多いほど不利になる
このように製薬企業以外の職場では、平均で2回~3回までの転職なら許容範囲となっています。
中には5回~6回も転職を経験しているケースもあるようです。稀なケースと言えますがドラッグストアや調剤薬局ならば、このようなケースも決して無いというわけではありません。
一方で国公立病院や総合病院などの大きな病院である場合は、一般企業のように転職回数によっては採用に影響する可能性が高くなります。
平均的に転職回数が多い薬剤師であってもやはり限度はある
薬剤師業界は転職が多い職業なので、平均的に転職経験者が多いことから、過去に転職していても採用に影響することは比較的少ないと言えます。
しかし製薬企業や規模の大きい病院では、過去の転職回数も審査対象となりますので、将来これらのような職場に就きたいと考えているのであれば、転職は控えた方が良いと言えるでしょう。
また調剤薬局やドラッグストアが転職しやすいといってもさすがに限度があります。
特別な事情が無い限り5回以上の転職をしていると、やはり合否に影響しますので短いスパンでの転職はやはりおすすめできません。
薬剤師であっても転職回数には注意しておく必要がある、ということを念頭に置いた上で転職を考えるようにしてくださいね。