薬剤師に将来性はあるの?今後求められる薬剤師とは

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薬剤師というと、イメージとして「安定」ということがまず浮かびます。一方で、「成長」というイメージはあまりないのではないでしょうか。

薬剤師として働いている皆さんは、今後薬剤師という仕事に将来性があるのか、このまま続けて大丈夫なのか、と不安に思うこともあるのではないでしょうか。

ここでは、薬剤師に将来性があるかどうか、そして、将来を考えた薬剤師になるためにはどうすればよいのか、ということについて紹介していきます。

現在の薬剤師の状況とは?

薬剤師は多い?少ない?

巷の薬剤師状況を見てみると、「薬剤師の飽和状態」と「薬剤師不足」の背反する二つのことが同時に叫ばれています。

この二つは、どちらも事実であるといえます。まず、薬剤師資格の「保持者」は飽和状態にあるということです。

つまり、薬剤師国家試験の合格者は毎年7000人程度であるのに対し、新卒での薬局の求人は4000程度であるため、「薬剤師資格を保持していながらも薬剤師として働いていない」という人が多くいるのです。

また、薬剤師不足は特に地方で顕著となっています。

ここでは、人口と同様に都市部では飽和し、地方では希薄化している、という一種の社会問題を見て取ることができます。

少子高齢化に合わせて

こうした状況で、都市地方関係なく進行しているのが皆さんもご存知の高齢化ですね。高齢化が進行すると同時に病院や薬局の需要も増してくることは想像に難くありません。

つまり、薬剤師という仕事だけ見てみれば、高齢化することがその将来性を担保しているともいえるのではないでしょうか。

また、高齢化により生産年齢人口が減少してくると、労働力不足に陥ります。

こうした状況で重要になってくるのが外国人労働者ですね。ここ数年、まちなかで外国人労働者を見かけることが増えてきたとは思いませんか?

外国人労働者だって、日本人と同様に健康保険に加入して病院に通い、薬を処方されに薬局にやってくるのです。

AIの脅威?

薬剤師の業務はAIによって取って代わられるという言説もよく耳にしますね。

たしかに、今までのようにただ処方箋を受け取り、その通りに調剤し処方する、といった単純業務であれば、AIの方がより迅速かつ正確な対応が可能であるでしょう。

また、実際に中国では自動販売機で医療用医薬品を処方し販売しているように、遠隔診療や薬の自動販売機の普及ということを考えると薬剤師の将来性は危ぶまれていると言えるかもしれません。

ニーズの多様化

都市と地方の格差、高齢化、外国人労働者の増加、AIの発達、このような状況を考えていくと、薬剤師の業務は今までのような調剤薬局での単純業務だけで語りきれるものではなくなるでしょう。

都市と比べて地方における薬剤師のニーズが高まって来るでしょうし、高齢化に伴って介護や在宅医療と関わった薬剤師の需要も増えるでしょう。

また、外国人労働者の接客をする際には英語を使える薬剤師がいると安心ですし、AIにできず、人にしかできない業務こそが薬剤師の担う仕事になるとも言えます。

くわえて、薬剤師の飽和状態を考えると、より専門的な分野に特化した薬剤師には将来性が見込めるでしょう。

つまり、感染症やHIV、漢方、薬物療法などの専門薬剤師の需要が今後高まることが予測されます。

求められる薬剤師になるために

それでは、薬剤師資格の保持者が飽和している現状の中で、どうすれば今後も求められる薬剤師になることができるのでしょうか。

都市を抜け出す

一番手っ取り早いのは、地方に行くことでしょう。じっさい、現在でも地方の薬剤師求人は高待遇・高給与のものが多く、薬剤師としてビジネスチャンスと言えます。

また、特に地方だと高齢化が顕著であるため、介護の知識や在宅医療の知識など、薬剤師に限らない他の医療関係の知識を有しているとさらに将来性が見込めるでしょう。

コミュニケーション能力

AIに不可能で人間に可能なことと言えば、綿密なコミュニケーションですね。

「かかりつけ薬剤師」という言葉が流行っていますが、やはり患者さんからしたら薬剤師と面と向かって悩みや相談などをしたいはずです。

わざわざ二つの病院に行かなくても二人から症状に関する知識を得られるということで、ある種のセカンドオピニオンともいえるでしょう。

ただ機械的に薬を処方するのではなく、患者さんとのコミュニケーションに注力して、かかりつけ薬剤師になることも重要でしょう。

その時に外国人の患者さんとも英語でコミュニケーションができるようになればカンペキですね!

知識を身につける

薬剤師が飽和してくる中で、他と差別化を図るための手段として、知識を身につけて専門薬剤師になるという方法があります。

上に挙げた感染症、HIV、漢方、薬物療法の他、精神疾患やがん、スポーツなど、様々な分野で専門薬剤師制度が設けられています。

実務歴や学会員であることを条件に、単位取得や論文提出などが必要になるので時間や手間はかかりますが、将来性のある薬剤師になるためには必要なステップであると言えるでしょう。

結局のところ薬剤師に将来性はあるの?

以上、薬剤師の現状と今後について考えてきました。

ところで、薬剤師に将来性があるのかどうか、という最初の疑問に答えていませんでしたね。

人がいれば、病気になる人もいて、薬が必要になるわけですから、薬剤師に将来性が全くないということは断じてありません。

ですが、社会情勢や薬剤師の飽和が叫ばれているということを鑑みると、薬剤師に将来性があるかどうか、ということではなく、将来性のある薬剤師になることは必要になってくることであろうと考えます。

今回は地方に行くこと、コミュニケーション能力を身につけること、知識を高めることにフォーカスして紹介してきましたが、きっとこのほかにも将来性のある薬剤師になる方法はあるでしょう。

この機会に社会の将来や自らの薬剤師としての将来を考えてみてはいかがでしょうか?